東京高等裁判所 昭和26年(う)3859号 判決
職権を以て按ずるに、原判決は法律の適用において被告人に対し刑法第二百十一条、第六十六条、第六十八条第四号、罰金等臨時措置法第二条、第三条を適用した上被告人を罰金七千五百円に処しているが、酌量減軽に関する刑法第六十六条の規定は法定刑の短期又は寡額を以てしてもなおその科刑が重いと考えられる場合において初めて適用せらるべきもので、法定刑の範囲内において量刑処断し得る場合には酌量減軽はこれをなすべからざるものと解すべきところ、本件業務上過失傷害、同致死罪における刑法第二百十一条に定められた罰金刑は罰金等臨時措置法第二条、第三条の適用を受ける本件については千円以上五万円以下であるから、原判決が被告人を罰金七千五百円に処するについては右罰金額の範囲内において量刑処断し得るものであつて、何等酌量減軽の必要がないのである。然るに原判決が酌量減軽に関する刑法第六十六条、第六十八条第四号の規定を適用した上被告人を罰金七千五百円に処したのは主文と理由のくいちがいの違法を敢えてしたことになるから、原判決は破棄を免れない